メディアで取り上げられた知的財産に関する話題について語るコラム 第4回(それってパクリじゃないですか編 その4)

 パトリオ特許事務所の中の人(弁理士)です。個人的趣味で選んだ知的財産に関する話題について気ままに語ります。

 今回は、日本テレビ系列ドラマ「それってパクリじゃないですか?」第6回でのテーマである発明のノウハウ化についてです。

 月夜野ドリンク(株)は、開発した“カメレオンティー”に関する発明を、自社のノウハウとして秘匿化するために特許出願しませんでした。

 特許出願人は、特許出願した発明を出願日から20年間、排他的に支配できる特許権を得る代わりに、その発明を公開しなければなりません。

 一方、発明を特許出願せずに秘匿して発明をノウハウ化することもできます。

 月夜野ドリンク(株)は、ノウハウ化した“カメレオンティー”に関する発明を他人に発見されない限り、自社だけでカメレオンティーを製造販売することができます。しかし、月夜野ドリンク(株)は、ノウハウ化した発明が社外に漏れないように、発明に関する資料の社外持ち出し及び複製等の禁止、製造現場への部外者の立ち入り制限、発明に関する情報にアクセスできる者を制限するなど、“カメレオンティー”に関する発明を厳重に管理する必要があります。

 また、“カメレオンティー”に関する発明を厳重に管理していても、ハッピースマイルビバレッジ(株)が“カメレオンティー”を自力で発明した場合、ハッピースマイルビバレッジ(株)は、特許権で保護されていない“カメレオンティー”を自由に製造、販売等することができます。更に、ハッピースマイルビバレッジ(株)が“カメレオンティー”に関する発明について特許権を取得した場合、月夜野ドリンク(株)は、“カメレオンティー”を自由に製造、販売等でなくなる可能性があります。

 このように、発明のノウハウ化は、秘匿状態の維持がとても難しく、常に発明に関する情報漏洩のリスク、第三者による発明の権利化のリスクを伴っています。

 企業は、発明の内容、発明を利用したビジネスの内容に基づいて、発明を公開する代償として特許権を取得するか、発明を秘匿してノウハウ化するか、を判断する必要があります。弊所では、貴社の発明の保護、管理について様々なご提案が可能です。判断に迷われた場合は、知的財産の専門家である弊所の弁理士にお気軽にご相談ください(^^)/。

参考:日本テレビ“それってパクリじゃないですか?”
ホームページhttps://www.ntv.co.jp/sorepaku/

(文責:松下 計介)